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黒潮本流のまわりの海域(海面) [海と船]

DSC_4088.JPG

このブログの以前の記事で見ましたように、黒潮本流の水は透明度が高くて、ゆえに太陽光を吸収してしまう一方で、光を水中で散乱して海面上からも見えるようにする働きがあまり強くないので黒っぽく見えるということでした。
(参考記事)http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-09

植物プランクトンがある程度多くて透明度がやや低い海の海面は亜熱帯の光のもとでとても美しくなります。今回はその若干の例です。

渡嘉敷島(沖縄本島那覇市に近い慶良間諸島のうちのひとつ)周辺:
1.渡嘉敷島の南東3海里..

2.その渡嘉敷島の南2海里の海面..

3.渡嘉敷島からやや離れて島の西南西13海里..

石垣島周辺:
4.石垣島の港に向う船の甲板上から..

5.石垣島に隣接する竹富島方向の海面..

6.石垣島の港から西表島との間の海峡を北西に外洋に向って進むと海面の色の変化に出会います..

(沖縄周辺の黒潮の流線図..)

http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN11/sokuhou/marine/newcur.pdf


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黒潮"源流" [海と船]

今回の旅行は、この夏に船で黒潮を見に行ってから、次はさらに黒潮のいわば"源流域"(注:黒潮は北赤道海流から続く海流ですので本当の意味の源流はありませんが)を見てみたいという思いがつのり、沖縄本島のサンゴ礁の海で泳ぐこともかねた予定で出かけて来たわけです。(台風15号の通過に伴いはからずも思ったより長い沖縄本島滞在となり、当初意図しなかった程有意義な旅となりました。)

以下、今回撮った何カ所かのポイントでの黒潮上の海面の写真です。海面の色というのは、言うまでもなく水自体が色を持っているわけではなくて、もともと無色で透明に近い海水の中(および表面)での光の各波長域での吸収と散乱(および反射)によるものですので、条件によってかなり微妙に色合いが変化します。透明度以外にも太陽の位置や曇天か晴天かなどの区別はその代表的なものです。定点での撮影ではなく、動きながらのものですので、条件をあらかじめ選べず、その時の自然条件にかなり左右されてしまいます。また肉眼では見た場合は、写真で見るのよりも、水表面での反射のため白っぽくまぶしい光が目に入ります。

以下の写真の順番は位置の順であり、(往復航路で)撮った日時の順ではありません。

(1)紀伊半島南端 潮岬の南2海里ほど(午後遅く、曇天;1海里=1.852キロメートル)

(2)四国足摺岬の南東4.4海里ほど(午前9時過ぎ、薄曇り)

(3)屋久島の南東21.37海里(午前10時過ぎ、晴天)

(4)沖縄の与那国島の北西31.4海里(午後遅く、小雨) - 黒潮"源流"

黒潮本流の図..

番号をつけた印が上の写真を撮った大体の位置を表します。(1)や(2)の地点はかなり岸に近いところでのものですが、(3)と(4)は大分陸地からは離れています。

特に(4)の付近は日本最西端の与那国島のさらに北西31海里(57.4キロメートル)にあたり、ここから2~3時間も船で行くともう台湾の港に着きます。このあたりがひとつの意味で日本の黒潮の源流と言っても良いのかと考えられます。もちろん海流はそれ以前の海域から続いているわけですが、日本での黒潮と言えばやはりこの辺りからなのでしょう。ただし大洋をゆく海流というのは、流路と深さをはっきりと制限された陸地の川とは異なりますから、この水そのものが例えば伊豆諸島近くの黒潮の海水にそのままなるというわけでもないようです。
ところでこの場合の写真は時々小雨の降る天候でのもので、あたかもモノクロ写真のような趣がありますが、たしかに"黒潮"です。この台湾の太平洋側近海というのは世界でもトップクラスの透明度の高い水の流れる海域だそうです。
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-09-02

(注:上の黒潮本流流軸の図は次のページのものに基づいてます..)
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/2007/qboc2007192cu0.pdf

参考記事(バックナンバー):
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-07-26
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-02
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-07
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-09


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沖縄本島南部のリーフ内側の浜 [海と船]

先日行ってきた旅行の基点が那覇でした。目的は特に沖縄に限定されていたわけではなく海上を台湾北部の港まで行って来たのですが、基点の沖縄本島では気に入っている"みいばるビーチ"に滞在してきました。前に行った時は日帰りしか出来なかったのですが、今回は台風15号のためはからずもゆっくりできました。
参考記事(バックナンバー):
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-03
(注:"みーばる"とも書くようです。もし検索する場合はこちらの形でも入力すると情報が多くなります。)
旅行の他の話題についてはまた後ほど。

ビーチに続く路のネコ..

ビーチを浜辺から..

遠くに白波がかすかに見えてますが、これがサンゴ礁リーフに外洋のうねりがあたって出来るもので、満潮時にはそのリーフまで泳いでゆけますし、その近くでは外洋(太平洋)の水が入ってくるので透明度が高く、魚が群れになって泳いでいるのを見ることが出来ます。(水中仕様のカメラを持たないので写真はなしです。)

遠浅の水に胸までつかって..

日焼けさえ気にならなければ(実は重要ポイント)1日中でも海水に浸かっていられるぐらいの水の温度で、優しく押し寄せ続けるさざ波が身を洗う心地良さはちょっと普通ではありません。

(水平線上右寄りにかすかに見える島はウミヘビ漁でも有名な久高島)


位置..
gps.jpg


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(なお、私自身はとても良いと思うのですが、このビーチはいわゆるリゾート地ではなく、またたとえば近くにコンビニはおろか通常の小売店もほとんどないことなどに象徴されるようにとてもひなびた所で、便利さを求める人には不向きです。グラスボートという海中を覗けるボートの運用はあります。)

さらに参考記事(バックナンバー):
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-03-15
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-03-14


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夜明け(の雰囲気) [海と船]

夜明けの雰囲気

DSC_2923.JPG

以前のブログの記事の中で、日の出の写真は苦手だと言いました。そこで、日の出ではなく、日の出直後で、しかも太陽の直接見えない写真をアップロードしてみます。

撮影場所は伊豆大島の東(野島崎沖)の海上です。日の出の時刻は05:22だったと思います。

05:25

05:28

05:30

(付録:薄明の中のあけの明星 04:53)


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ラニーニャ現況(2007年9月10日) [海と船]

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"2007年春に発生したラニーニャ現象は2008年春に終息した。"
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

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ラニーニャ現況(2007年9月10日)

気象庁からエルニーニョ監視海域(ラニーニャについてもおなじ海域)についての"監視速報(No.180)"が9月10日に発表されました。

それによれば、
"東部で顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差"
とのことで、つまり海面水温が、太平洋赤道域の東部では基準値(その年の前年までの30年間の各月の平均値)よりはっきり低めで、西部では基準値よりはっきり高めだとのことです。それで、
"海洋と大気のこれらの状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示している"
としています。
(注:はっきり"ラニーニャ現象が発生した"とするためにはもう少し長い期間の統計データがそろわないといけないようですが、最近では気象庁は、暫定的なデータの段階でも速報としてラニーニャ現象の発生に言及する事にしているようです。)

"太平洋赤道域の海面水温は、東部で顕著な負偏差、西部で顕著な正偏差だった。海洋表層(海面から深度数百mまでの領域)の水温では、中部から東部にかけて顕著な負偏差が見られた。中部太平洋赤道域の東西風は、上層で西風偏差、下層で東風偏差だった。これらの状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示している

"エルニーニョ監視海域の海面水温は、予測期間中、基準値より低い値で推移すると予測される。ラニーニャ現象は冬まで続く可能性が高い。"

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html

ラニーニャ現象が冬まで続くと、西日本では冬に気温が平年並み~低いという傾向にあるとのことで、一方で、東日本日本海側では降水量が平年並〜少ない傾向、北日本では日照時間が平年並み~多い傾向にあるそうです。南西諸島のほうでは日照時間は平年並み~少ないという傾向にあるとか..
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/elnino/learning/tenkou/nihon2.html

(注:エルニーニョ監視海域は北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)

(今年8月の海面温度の平年との差)

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/db/elnino/clmrep/sst-ano-global.html

(JAXA[宇宙航空研究開発機構]による海面温度偏差の画像の一部:9/5~9/9)

http://sharaku.eorc.jaxa.jp/cgi-bin/amsr/elni2/elni2.cgi?lang=j


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透明度の高い海域(II) [海と船]

透明度の高い海域(II)

先の記事で、『理科年表』平成19年版(丸善)に載っているいくつかの海域の透明度のことでクイズめいた問題にしてました。任意にとりあげた透明度の高い五つの海域のうちで最も透明度の高いのは何処だろうかという問題でした。で、回答は..

答え: 台湾近海(太平洋側)

ということになります。

(太平洋の海流の模式図)

以下、その五つの海域を透明度の高い順に書きますと次のようです:

1)太平洋 台湾近海 透明度60.0m

2) 東シナ海 沖縄本島沖 透明度34.0m

3) 日本海 能登沖 透明度27.0m

4) インド洋 赤道海域 透明度21.0~30.4m

5) 太平洋 赤道海域 透明度17.0~18.0m
問題の選択肢からははずしておきましたが、表に記載されているうちで最高の透明度の記録は大西洋サルガッソ海の66.0mとなっています。

このうち上位ふたつの台湾近海(太平洋)と沖縄本島沖(東シナ海)はともに黒潮の通る海域です。そのなかで特に台湾東岸は岸から僅か50km(27海里)で水深4000mにも達する海底地形となっています。もちろん海流自体はそこまで深くはありませんけれど、でも総じて言えば海流が海底地形による制限を受けずによどまないで進むにはうってつけの地形ですね。台湾から東に少しはなれた太平洋中に緑島(Lu Tao)という離島がありますので、この近くの海を見ることは難しくありません。近いうちに台湾東方近海に行く機会を見つけて、少なくともその海面の様子を撮影して紹介できたらと思います。

これ以外では、印象的なのはイタリア半島の東側のアドリア海(南部)がずば抜けて高い透明度とは言えませんが、それでも14.0~25.0mという透明度(1979年から1985年の平均)を持っていることです。地中海一般についても見たいところではあるのですが、こちらは表には掲載されていません。
なお、これらの透明度ですが、測った人も年次もまちまちなので、かならずしも同一条件での測定ではありません。
(アドリア海)

何人かの方にコメント欄で答えていただきましたが、日本海という答えが多かったのは意外でしたが、実際日本海の透明度はかなり高い方にあるわけです。太平洋(赤道海域)をあげられる方もあったのですが、これは直感的にはありそうな答えだと思います。陸地から遠ければ海はきれいだろうというわけですね。でも、海の水は一筋縄ではいかず、太平洋の北東部や赤道付近では深海からの湧昇があったりするらしく、それらが深海から栄養塩をもたらす場合、プランクトンが多く発生するということになって、透明度は下がるようなんですね。そういうわけで、意外にも陸地に近い台湾近海が透明度が高いということになったりしています。

湖沼では海洋よりも一般に透明度が若干下がるようですが、記録としては1931年8月31日に北海道水産試験場によって測られた摩周湖の41.6mというのが高い値で、さらに、1911年4月のバイカル湖の40.5mというのがそれに次いでいます。ヨーロッパではバイエルンのワルヘン湖が25.0m(1903年3月)という記録を持っています。一般に、時代とともに透明度は下がる傾向にあるようです。


関連記事 バックナンバー:
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-07-26
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-02
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-07
http://blog.so-net.ne.jp/kozuchi/2007-08-09



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透明度の高い海域 [海と船]

透明度No.1の海域(クイズ形式で)

海域の透明度、つまり直径30cmの白い板を水中に下ろして、何メートルで見えなくなるかということですが、例えば平成19年版の『理科年表』(丸善株式会社)にいくつかの海域の透明度が表になってでています。

ちょっとトリッキーなクイズですが、次の海域のうちもっとも透明度の高い(つまり澄んでいる)ところはどこでしょうか。

1) 日本海 能登沖
2) インド洋 赤道海域
3) 東シナ海 沖縄本島沖
4) 台湾近海
5) 太平洋 赤道海域

因に、『理科年表』(平成19年版)の表に載っている最高の透明度の海域は上にはあげませんでしたがサルガッソ海で透明度66mです。
(サルガッソ海:大体矩形の内側)

上のクイズはトリッキーだと言いましたが、それは、測定された年次がかなりまちまちなので、必ずしも同一条件での比較ではないということです。

ヒントは海の色にあります。

回答は後日..



参考1: 沿海の透明度

東京湾 湾奥 2.0~9.5m
湾口 3.0~13.5m
湾外 11.0~18.0m

相模湾 中央部 13.0~21.0m

駿河湾 湾西部 5.0~10.0m
湾東部 15.0~20.0m

遠州灘 1.0~16.5m

三河湾 平均 2.0~4.0m

伊勢湾 平均 4.0~8.0m

大阪湾 北部 3.4m
南部 5.4m

瀬戸内海 平均 4.0~12.0m

有明海 沿岸寄り 0.5~3.0m
中央部 2.0~4.0m
湾口 6.0~12.0m

大村湾 中央部 4.0~10.0m
岸寄り 1.3~8.0m

白保 サンゴ礁 2.9~16.7m



参考2: 8月20日現在の琵琶湖水の透明度

北湖 7.7m
南湖 2.6m
これらは例年(北湖4.8~6m、南湖1.5~2.0m)より高い透明度となっていて、今年は猛暑の後でも澄んだ水となっていることを意味しています。水量も十分で、たとえば9月2日午前7時では[基準水位-29.0cm]で、これはほぼこの時期の[計画高水位]です。


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