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ダーウィンの日記1832年1月29日と30日 [ダーウィンが行く]

ダーウィンの日記(ベルデ岬諸島サンティアゴ)

[仮訳]
(1832年1月)29日
礼拝式が艦上でとり行われた。私がこれを見たのは初めてだ: それは印象的な情景で、私が予想していたよりも、乗組員の極度の注意深さがそれをより堂々としたものにしている。日曜日の艦上のすべてがもっともよろこばしく清潔だ。下甲板[注:居住区域]は多くの紳士の家よりずっとまさっている。

[参考画像1]
ビーグル号と同時代の英国の艦船上での礼拝式の様子。紺色の服を着ている人達が海軍所属の人員。(赤い服を着た人達は海兵隊員で、狭義の海軍所属ではなく、特殊な装備と特殊な訓練を施した水陸両方の軽歩兵部隊の所属。) この情景はダーウィンの見たビーグル号上のそれよりも緊張感に乏しいか..

Augustus Earleによる絵画で、1837年に初展示される。
画像出典 http://www.nmm.ac.uk/mag/pages/mnuExplore/PaintingDetail.cfm?ID=BHC1119&letter=D&search=BHC1119

[参考画像2]
このビーグル号の縦割りの図で、多くの人が書き込まれているのが居住区域である下甲板で、その後尾(順風において風上)に艦長室があります。下甲板より一段高い船尾の部屋がPoop Cabinで、ビーグル号では製図室となっておりダーウィンの居所がありました..

ダーウィンと一緒にビーグル号に乗っていた当時士官候補生だったP.G.キング(14才)による1832年の素描

[仮訳(続)]
(1832年1月)30日
クウェイル島の西海岸までキング[士官候補生]と一緒に散歩し、数多くの海の動物を採集した。すべて極度に興味深い。私は[標本として]どちらを採るかの選択に迷うこと頻繁なのである。それほど多くの美しい動物をたいていは持ち帰ることになる。

午前中雨が数滴落ちた。

[注釈]
1832年1月29日正午プラヤ港での天候:
東の風、風力2、雲を伴う青空、スコール、気温華氏74度(摂氏23.33度)、水温華氏72度(摂氏22.22度)。

1832年1月30日正午プラヤ港での天候:
北東の風、風力4、雲を伴う青空、気温華氏77度(摂氏22.78度)、水温華氏72度(摂氏22.22度)。

[日記原文]
29th
Divine service was performed on Board. — it is the first time I have seen it: it is a striking scene & the extreme attention of the men renders it much more imposing than I had expected. Every thing on board on Sunday is most delightfully clean — the lower decks would put to shame many gentlemens houses. —

30th
Walked to the coast West of Quail Island with King, & collected numerous marine animals, — all of extreme interest. — I am frequently in the position of the ass between two bundles of hay. — so many beautiful animals do I generally bring home with me. — In the morning a few drops of rain fell.


上の写真の島はこのサンティアゴ島南部の地図で最南端のプラヤ湾西端に小さく見える小島を空から撮ったもので、これがダーウィンが海に棲む生物をよく観察したクウェイル島だと思われます..

[参考]プラヤ港の現在の天候
http://www.worldtimeserver.com/weather_in_CV.aspx?forecastid=CVXX0002



["ダーウィンが行く"について]
このブログのシリーズで扱っているのはダーウィンのビーグル号に乗っている時の日記です。訳文は私的な研究目的に供するだけの仮のものです。ここでは全文を訳してますが、日によっては原文全文と注釈または抄訳だけにとどめて必ずしも全文の訳をしないこともあります。抄訳の時はその旨を明示します。
[日記原典]
"Charles Darwin's Beagle Diary" ed. by R.D.Keynes, Cambridge U.P., 1988.


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zenjimaru

こんにちは
相変わらず京都は寒いですか?
夏の猛暑と冬の厳寒がなければ京都はいい街なんですがね
やはり日本の心であり、真髄ですから憧れます
ところで
>多くの美しい動物をたいていは持ち帰る
甲板で飼育、それとも標本にしたのでしょうか?
動物と言うからには昆虫などではないかと思われます
by zenjimaru (2008-01-29 16:14) 

さとふみ

ここでダーウィンが集めたのはウミウシやタコなどの海に棲む動物です。たいていはスピリッツに浸して標本にし、南米岸にいる時期(1835年前半)までは寄港地で英国に帰る船に託して本国に送っていました。

ところで京都は夏は本当に暑いですが、冬は"底冷え"とは言われますがそんなに極端に寒いわけではありません。
by さとふみ (2008-01-29 17:36)