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ダーウィンの日記1832年7月4日と5日 [ダーウィンが行く]

ダーウィンの日記(リオ・デ・ジャネイロからモンテビデオへ)

[日記仮訳]
(1832年7月)4日
夕方、係留を解いた。故にようやく明朝リオを出るのは確実だ。私はとても嬉しい。港に停滞していることぐらい退屈なことはないからだ。そういうわけで、出帆とその予告の間の期間を私は常に持て余すのだ。

5日
9時少し過ぎに錨を揚げた。そして穏やかな微風のもとに湾の外に出た。タルボットとハーディングの両艦長[ウォースパイト号の艦長と副艦長]がサンタ・クルス[注]を越えても私たちに同乗していた。私たちがウォースパイト号とサマラング号(バイア以来の友人だ)の脇を通りすぎる時、彼等は登檣礼を行い帽子を3度振ることにより真に海の男らしい別れの挨拶をしてくれた[*注]。楽隊はその時、"君らは栄光に向かって舵をとる" [†注]の演奏を始めた。
[注] Fortaleza de Santa Cruz のこと(下の地図参照)。
[*注]祝砲を撃たなかったことについて、フィッツロイ艦長はビーグル号は戦闘に向かうわけではないのでこれは穏当だという意味のことを書いています。
[†注]ダーウィンは"To glory you steer"と書いていますが、曲名"Heart of Oak"という行進曲のことであろうと思われます。その中に"to glory we steer(我らは栄光に向かって舵をとる)"の句があります。メロディーに関心がある場合はこのページ下の動画の音声を参照できます。

艦長はケープ・フリオに立ち寄る事を企図していたのだったが、雷光がそちらにあったので、南に向かってまっしぐらに進んだ。ラザ島[注]の近くで風が凪(なぎ)となり今私たちは止まっている。一晩中そのままだろう。月が鏡のような海面の上に照っている[*注]。再び海に出てみんなが意気軒昂であるが、望むとすればもう少しの風が欲しいところだ。船の静かな規則正しさは心地よい。外洋に向かっている時ほど、置き去りにしてきた"人々のガヤガヤ"というものについて強く感じる場合は他にない。
[注]下の地図2参照。
[*注]この時の月の入りは深夜を越えて翌日6日の0時11分。

[地図] サンタ・クルス(Fortaleza de Santa Cruz)の位置..

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[地図2]ラザ島の位置..

適宜縮尺を変えて下さい

[日記原文]
4th
In the evening unmoored ship; now therefore it is certain we leave Rio in the morning. — I am very glad, as nothing can be more dull than lying in the harbor. — And I always find the interval between sailing & the first day announced hangs heavily on hand. —

5th
A little after 9 oclock we tripped our anchor, & with a gentle breeze stood out of the bay. — Capts Talbot & Harding accompanied us beyond Santa Cruz. — As we sailed past the Warspite & Samarang (our old Bahia friend). They manned the rigging & gave us a true sailor-like farewell, with three cheers. — The band at the same time striking up "To glory you steer". — The Captain had intended touching at Cape Frio, but as the Lightning did so. — we made a direct course for the South. — Near to the Isle de Raza the wind lulled, & we are now becalmed & shall probably remain so during the night: The moon is now shining brightly on the glassy water. — every one is in high spirits at again being at sea & a little more wind is all that is wanted. — The still & quiet regularity of the ship is delightful; at no time is "the busy hum of men" so strongly perceived as when leaving it for the open ocean. —

[参考動画] "Heart of Oak"の演奏(動画の画面は記事内容とは直接関係ありません)..


["ダーウィンが行く"について]
このシリーズで扱っているのはダーウィンがビーグル号に乗っている時の日記です。訳文は私的な研究目的に供するだけの仮のものです。普通は全文を訳しますが日によっては原文全文と注釈または抄訳だけにとどめる場合もあります。抄訳の時はその旨を明示します。
[日記原典]
"Charles Darwin's Beagle Diary" ed. by R.D.Keynes, Cambridge U.P., 1988.


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春分

今は家族とテレビを見ているので、あとで音楽は聴いてみます。
かつては本を読んで曲がわからないことは多かったものですが。便利ですね。
by 春分 (2008-07-05 21:17) 

さとふみ

あ、楽曲の音声ファイルは単なる参考資料です。
by さとふみ (2008-07-05 21:20) 

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