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ダーウィンの日記1832年3月27日と28日 [ダーウィンが行く]

ダーウィンの日記(バイアからリオ・デ・ジャネイロへ)

[仮訳]
(1832年3月)27日と28日
この2日の間に探検の仕事が始まった。私たちはアブロリョス諸島の何カ所かの測深を行った。これはルサン男爵がやり残していたことである。
水深は通常ない程に変化に富んでいる。ある測鉛の投入では20ファゾム[36.6m]なのに、2、3分もするとわずか5[9.1m]となるのであった。この光景は私にとってまったく初めてでとても興味深かった。すべてが用意されていて、帆は全部が絞られこじんまりとしており、錨はいつでも投じられるよう準備されている。まったく声も他の音も聞こえない、ただその例外として聞こえるのは鎖をつないだ測鉛の係の者たちの代わる代わるの大声だけであった。

[注釈]
単位としてのファゾム(fathom)は1ファゾムが1.828804mです。日本で慣習的に使われていた尋(ひろ)は1尋で1.818mの長さになる場合もありましたのでこれですとかなり近い単位です。なお、ビーグル号は吃水(水面から船体の最低部までの鉛直距離)が3.8mなので、これはファゾムに直すとほぼ2ファゾムを少し超える深さということになります。

夜、錨泊した。

[地図]アブロリョス諸島 サンタ・バーバラ島の位置(フィッツロイ艦長の記録)..

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[天候]
1832年3月28日正午の天候:
北北東の風、風力4、青空、雲、気温華氏83度(摂氏28.3度)、水温華氏80度(摂氏26.7度)。

[日記原文]
27th, 28th
During these two days the labours of the expedition have commenced. — We have laid down the soundings on parts of the Abrolhos, which were left undone by Baron Roussin. — The depth varied to an unusual extent: at one cast of the lead there would be 20 fathoms & in a few minutes only 5. — The scene being quite new to me was very interesting. — Everything in such a state of preparation; sails all shortened & snug: anchor ready to let fall: no voice or noise to be heard, excepting the alternate cry of the leadsmen in the chains. — We anchored for the night &

soundingL.jpg
測鉛
画像出典 http://www.mariner.org/exploration/index.php?type=navigationtool&id=3

["ダーウィンが行く"について]
このシリーズで扱っているのはダーウィンがビーグル号に乗っている時の日記です。訳文は私的な研究目的に供するだけの仮のものです。普通は全文を訳しますが日によっては原文全文と注釈または抄訳だけにとどめる場合もあります。抄訳の時はその旨を明示します。
[日記原典]
"Charles Darwin's Beagle Diary" ed. by R.D.Keynes, Cambridge U.P., 1988.
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もく。

水深の変化にずいぶん興味を示していたんですね。
サンゴ礁とかそういうものが有ったのでしょうか?
by もく。 (2008-03-27 09:24) 

さとふみ

アブロリョス諸島の概略を調べることは、ビーグル号が出発前に水路測量局のビューフォートから艦長フィッツロイに渡された覚え書き(命令書に付属して細部の指針を示すもの)に、そのようにすべきであるということが明記されています。つまり、これは本来の任務の一環だったわけです。
by さとふみ (2008-03-27 09:40) 

春分

読みはファゾムでいいのですね。ベーリングの航海の方にも出てきまして。
わかりやすく尋と訳すのでもよさそうにも思いますが、だめですか。
by 春分 (2008-03-29 12:57) 

さとふみ

1ファゾム(fathom)が1.828804mで、日本で慣習的に使われていた尋(ひろ)が1尋で1.818mだとしますとほとんど同じだと言えるわけですが、一応単位ですからここではそのままファゾムで通そうと思っています。
by さとふみ (2008-03-29 15:27)