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ウユニ塩湖(南米、ボリビア)の塩 [フード&ドリンク]

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ウユニ塩湖(南米、ボリビア)の塩

食塩は料理の味付けの主役とも言える位置を占めていると言ってよいかとも思うのですが、塩味が濃いか薄いかにはすぐに注意が向くとしても、通常はだしなどの効果もあって、食塩そのもののもっと微妙な味わいを特に意識するということは少ないのではないでしょうか。 食塩と水とはよく意識を集中してみれば、かなり手の込んだものでないなら、料理中である程度まで味わい分けられる気もするのですが(おそらく錯覚)、どちらもそれほど意識されることは多くないように思われます。なお、食塩は単に味付けだけでなく、保存食を作るほとんどの場合には不可欠なものでもあります。この場合、味噌や醤油も"保存食"の中に入れて考えれば、古来必需品として食塩がその重要性における位置づけを受けたのは、この後者の役割による面が大きいのではないでしょうか。

普通に使われている精製塩は食塩の主成分である塩化ナトリウムを99.9パーセントほども含むのですが、その精製塩の方はちょっと口に含んだ時に舌を刺すような刺激があります。一方、海から採った塩はそのままではそのような純度にはならず、舌への刺激もそれほど強くはありません。それはにがり(マグネシウムが主成分)を含んだり、その他カルシウム成分やカリウムなども少量ですが含むので、それらのバランスが微妙な食塩の味わいの違いになって出てくるわけですね。舌にやさしくなるのですが、一方で成分のバランス次第では癖のある味になる場合も考えられます。

ここ10年ほどの間に食塩の専売制が終わり、ついで自由に塩を作ったり販売することが出来るようになって(注:届け出は必要なようです)、世界のいろいろな塩が比較的容易に手にはいるようになってきました。そのようないろいろな塩についての表記("天然塩"とか"自然塩"等)には恣意性がはいるようで、その具体的な意味には注意が必要かもしれません。

さて、今回は南米の広大な塩湖であるウユニ湖からの食塩というのを入手してみました。これはウユニ湖で採られたそのままのものと考えてよいのかと思います。


ちょっと口に含んでみると、刺激の少ないなかなか奥深い味わいがします。購入した際の袋に書いてあった成分は次の通りです(100gあたり)..

塩化ナトリウム 97.38g
水分 0.36g
カリウム 66mg
マグネシウム 62mg
カルシウム 491mg
硫酸イオン 1.31g
鉄 1mg
亜鉛 0.47mg

カルシウムがかなり多く、マグネシウムがやや少ないようですが、ほとんど粗塩と言ってよいのだろうと思われます。硫酸イオンはもともと海水に多いもののようです。全体として塩味の刺激が少なく舌にやさしいです。

ウユニ湖は南米のボリビア西部にある塩の平原です。標高が3656mのところですから、富士山の高さ(3776m)*とそれほど違いませんね。(*注:富士山には現在電子基準点という構造物が建てられ、その高さは3777.5mだそうです。山の高さそのものには影響しません。)
広さの方が1万582平方キロメーターで、琵琶湖(670.33平方キロメーター)よりかなり広い塩で覆われた大地ということになります。琵琶湖との面積比が15.79倍でウユニ湖のほうが広いことになります。周囲の長さ比の見当をつけるために面積比の平方根をとればウユニ湖のほうが4倍(もっと正確には3.97倍)ほどの見当で周囲が長いということになります。もっとも、両者は形が違いますので、これはだいたいの目安でしかありません。
乾期においては全くの塩の平原ですが、雨期には水が張るので、とても広い塩湖と言ってよいわけですね。

成因はアンデス山脈が数千万年前に海の底から隆起したとき、それが急速だったので、昔の海の水が広いくぼみや岩の中でそのまま持ち上げられ、広大な塩湖が乾燥した天候のために水が蒸発して出来たものだとのことで、ゆえにそこに残された塩は現在の海水のものと異なり、人類進化以前の海、つまり人類の活動の影響を受けていない太古の海の塩であるとも言えるというわけです。

ダーウィンがビーグル号で世界周航を行っているときにアンデス周辺での地層の隆起の証拠を見たことが、後に"自然選択による種の起原"(あるいは進化のメカニズム)に考え至る遠因のひとつともなったということを考え合わせると興味深いものがあります。もっともダーウィンはボリビアにまでは行っていません。それはともかく、ボリビアは自然景観において興味深い場所が幾多あるようです。

(ウユニ湖の地図)


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写真のページ↓..
http://www.panoramio.com/photo/458483
http://www.panoramio.com/photo/913159






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響(きょう)

理系の方なのでしょうか? 理由づけが客観的ですよね。
by 響(きょう) (2007-07-15 13:10) 

さとふみ

訓練された傾向性としては"理系"ですね。
by さとふみ (2007-07-15 16:04) 

nicolas

ペルーの赤みのある塩を友だちにもらったばかりです。
それは鉄分がすごいって説明してくれました。
これは白いんですね~
by nicolas (2007-07-15 18:36) 

さとふみ

岩塩の固まりには黒いのもありますよね。
ウユニのは塩湖がかわいたものですから白くても不思議はないです。
by さとふみ (2007-07-15 19:05) 

みね

塩も味わってみると、微妙に違いがあるのですよね。
mapでも、白く写っているのですね^^
by みね (2007-07-15 23:29) 

アールグレイ

最近はいろんな塩がでていますね。
塩は、ステーキや天ぷら、野菜なども少しの塩をつけていただくと
かえってその素材の美味しさを引き出してくれたりしますね。
塩も調べたりすると、奥深いものがあるのでしょうね。
by アールグレイ (2007-07-16 01:39) 

さとふみ

>みね様
日本で塩の専売制が敷かれていた時期は塩化ナトリウム99.9%の精製塩以外を手に入れることがほとんどありませんでしたので、塩の微妙な味の相違を体験することはほとんどありませんでしたね。当時、沖縄の塩(美味しい)を旅行する人に頼んで買ってきてもらったり..
by さとふみ (2007-07-16 08:19) 

さとふみ

>アールグレイ様
そうそう、ステーキや野菜もありますね。私自身はステーキを自分では焼かないので、そちらについては言及しませんでした。
by さとふみ (2007-07-16 08:22) 

umiko

山から掘った塩を頂き 味がちょっと違った気がしました。
濃い・・・感じ
by umiko (2007-07-16 08:34) 

さとふみ

>山から掘った塩..

(笑) .. 岩塩のことですね。

ところで、料理の中では塩味を薄めにしたほうが、かえって塩そのものの(濃い)味が分かりやすいように思います。
by さとふみ (2007-07-16 08:42) 

umiko

笑われてしまった・・・
あい 岩塩と書き直しにきたら・・・
えへへ
by umiko (2007-07-16 09:08) 

さとふみ

岩塩(山から掘った塩)といえども太古の海水由来のものだそうですね。長い期間の間に水分が失われて圧縮を受けて、特異な結晶構造になっているものがあるとか..
by さとふみ (2007-07-16 09:17) 

umiko

ここで 少し利口になった気がします。
気だけですが・・・
ありがとうございますm(_ _)m
by umiko (2007-07-17 08:32) 

響(きょう)

やっぱり理系だったのですね。(^^)
調べてみると、塩にも知的好奇心を刺激する世界があるのですね。

今日は詩を書きました。(^^)
by 響(きょう) (2007-07-17 13:33) 

はじめまして。
先日はご訪問頂きありがとうございました。
私も最近、塩に興味を持ち、家ではアメリカ・ユタのジュラ紀の塩と言うのを使っています。
ところどころ、少し赤みが混じった物ですが、美味しいです。
by (2007-07-21 04:08) 

さとふみ

みさきさま

塩はこだわり甲斐がありますね。

>アメリカ・ユタのジュラ紀の塩

基本的に岩塩なんだとおもいますが、そのように古さが特定されているのも面白いですね。
ヒマラヤ山脈などもジュラ紀は海底だったそうですから、ヒマラヤの岩塩も同じように古いのでしょう。
by さとふみ (2007-07-21 05:37) 

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