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ダーウィンのビーグル号日記(24) [ビーグル号]

["ダーウィンのビーグル号日記"というシリーズ記事は以前書いたもので、自分としては内容に不満足なので現在は原則として非公開とさせていただいております。そのうちで、この24番目の記事はガラパゴス諸島について書いたもので、後の参照の都合なども考え、これだけは公開とします。いずれ改訂することになると思います。]

ガラパゴス諸島(I)

今回はガラパゴス諸島について一般的な予備知識を少し集めておくことにしましょう..

ダーウィンの時の島の地図と名前

現在の島の地図と名前
galapagos-map_2.jpg
(図左上のふたつの島の組[ダーウィン島とウォルフ島]は実際の位置とは異なり中心部に引き寄せて示してあります。なおここでは余談ですがダーウィン島にはC.ダーウィンは上陸していません。)

ガラパゴス諸島 とは、南米大陸エクアドルから1000kmほど西の太平洋の中にある13個の主な島と、6個の小さな島、そしてさらに小さな岩礁、とからなる諸島でその範囲は5万9千500平方キロメートルにおよぶということです。この面積は日本の九州と四国の面積を足したものにほぼ匹敵します。もっとも、これは島が散在する範囲を考えての面積で、島の面積の合計ではありません。それでも意外に広い範囲にあると思いませんか。最大の島は現在イサベラ島と呼ばれている島(ダーウィンの時の名はアルベマール島)で、4千588平方キロメートルでこれは京都府(一部に京都市をもちろん含む)の面積とほぼ同等ですね。けっこう大きいです。その島の長さ約132kmで、面積はガラパゴス諸島の陸地面積の半分を占めるそうです。
大陸から約1000km離れているというと、もし陸橋がかかっているとして、毎日42.195kmのフルマラソンの距離を走って23日と半日でようやく到達する距離ですね。自転車で毎日100km走って10日間、1日10kmずつ泳いで100日間(つまり3ヶ月と10日ほど)です。でも、これは南からのフンボルト海流が強いうえにサメがいますからこの計算通りにはいかないでしょう。(問題:毎日この組み合わせでトライアスロンをしたらどのくらいで着くでしょうか。)


大体が玄武岩(火山岩)で出来ていて、ところどころに楯状火山があり、そのうちのいくつかは周期的な活火山だそうです。先に触れた最大の島イサベラ島のアスール山(1689m)は諸島での最高峰です。

なお、2番目に大きな島はサンタクルス島(ダーウィンの時はインデファティガブル島)ということになります。

ガラパゴス諸島の発見は1535年(マゼランの率いた船隊がマゼラン海峡を太平洋に抜けてから15年後)、パナマの司教トマス・デ・ベルランガの船がペルーへの航海中にコースを外れてのことでした。その時は別の名前が付けられたのですが、ベルランガ司教がその著書の中で多数の大きなカメ(galapagos)のことを賞賛したことや、またその後多数のスペイン人航海者が島々を訪れ、海賊や捕鯨船、そしてまたアザラシ猟の船も多く来て、スペイン語のガラパゴスの名前で呼ばれるようになったとのことです。発見から300年間ほどもどこの国も領有権を主張しなかったのですが、1832年にエクアドルが正式に所有することになり、南の方の島に植民をはじめたということです。ダーウィンの乗ったビーグル号が到着したのはその3年後の1835年のことになります。

ガラパゴス諸島の気候は、低降水量、低湿度、比較的低い大気温および水温によって特徴づけられるとされます。赤道直下と言って良い所なのですが、近くを南極海から流れるフンボルト海流という寒流が流れているんですね。
大多数の動植物は固有種で、乾燥した低地はサボテンが、より高い推移地帯では白粉花(オシロイバナ)やグアヴァが優越し、その上の湿気の多い地帯にはスカレシアの林が多いと言われます。木のない高地ではシダや草におおわれるようです。

さて、動物の方ですが、その特異な動物達は現在ではとても有名です。そのなかでもまず、巨大なカメ(ガラパゴスゾウガメ)は150年にもおよぶ地球上最長の寿命を持つと考えられています。

(一時はダーウィンが持ち帰ったカメがごく最近まで生きていたらしいなどというニュースが広まったことまでありましたが、その由来はあまり定かでないようです。)
ダーウィンフィンチ(またはガラパゴスフィンチ)と呼ばれる鳥の種類もいます。これの詳細はダーウィンが登場する次回以降、ダーウィンに語ってもらいます。でも実際はダーウィンがここにいた時はそれほど注目はしておらず[日記には1度しか言及していない]、後に整理がなされてからその島々での分布の問題が重要性を持って浮かんで来たとされます。
イグアナ(陸上生活をするリクイグアナと水中を泳ぐウミイグアナ)という動物の種類もいますね。

これら以外にまだまだ多くの種類の珍しい動物がいるのですが、いずれにしても動物については次回ダーウィンに語ってもらうことにします。

背景となる知識としてひとつ触れておかないといけないのは、ガラパゴス諸島の年齢についてなのですが、比較的最近の調査(1992年)では、近くの海山(の火山活動;ホットスポットと呼ばれるマグマの噴き出し口)が今から500万年ないし900万年前に島々を形作り、現存するガラパゴスの島々はそれより若くて70万年ないし500万年前にできたのだろうとされているようです。特にサン・クリストバル島とかエスパニョラ島の古い溶岩には300-500万年の古さを持つものがあるとされているようです。

(ペルーのリマ近くのカジャオ港からガラパゴス諸島までのビーグル号の航跡概念図)


(西暦2000年現在での人口16,917で、年間60,000人ほどの旅行者が1990年代の後半には訪れているとのことです。1978年にUNESCOが世界遺産に登録しています。)

galapagos_tortoise.jpg
出典: National Geographic

(問題の答え:1週間)

[参考] ガラパゴス諸島でのビーグル号の所在地(フィッツロイ艦長の記録による)..
1835年
9月
15日 チャタム島に東から近づく
16日 午前9時 バリングトン島沖
17日 午前9時 チャタム島 ステファンズ湾
18日 午前9時 チャタム島 ステファンズ湾
19日 午前9時 チャタム島の周囲を(時計まわりに)周回中
20日 午前9時 チャタム島の周囲を周回中
21日 午前9時 チャタム島 ステファンズ湾
22日 午前10時 チャタム島 ステファンズ湾
23日 午前10時 チャタム島 ステファンズ湾
24日 午前10時 チャールズ島沖
25日 午前9時 チャールズ島 ポスト・オフィス湾
26日 午前9時 チャールズ島 ポスト・オフィス湾
27日 午前6時 チャールズ島 ブラック・ビーチ泊地
28日 アルベマール島へ向かう
29日 正午 アルベマール島の南西端
30日 正午 アルベマール島西岸 エリザベス湾
10月
1日 午前9時 アルベマール島西岸 タグス湾
2日 午前9時 アルベマール島西岸 タグス湾
3日 午前10時 アルベマール島西岸 バンクス湾
4日 午前10時 アビングドン島沖
5日 午前10時 アビングドン島沖
6日 午前10時 タワーズ島沖
7日 午前10時 ビンドローズ島沖
8日 午前9時 ジェームズ島 .....(ダーウィンはこの日下船)
9日 午前9時 ジェームズ島 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
10日 午前9時 ジェームズ島 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
11日 午前9時 チャタム島 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
12日 午前9時 チャタム島 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
13日 午前9時 チャタム島 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
14日 午前9時 フード島 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
15日 正午 チャールズ島 ポスト・オフィス湾 (ダーウィンはジェームズ島滞在)
16日 午前10時 ポスト・オフィス湾 .....(ダーウィンはジェームズ島滞在)
17日 午前9時 アルベマール島東岸 ....(ダーウィンはこの日ジェームズ島で乗船)
18日 午前10時 ジェームズ島 シュガーローフ沖
19日 午前9時 アビングトン島沿岸
20日 午前10時 ウェンマン島沖 (ビーグル号はこの夕刻 タヒチ島に向けて出帆)


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春分

さて、やっとガラパゴスに至りましたね。この先が楽しみです。
by 春分 (2007-08-14 16:39) 

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